
前回の記事では『クトゥルフ:ダーク・プロヴィデンス』が、いかにして『エメラルドの秀作』初版の精神を現代に蘇らせたかをご紹介しました。
今回は、そのルールの魅力を2回にわけてじっくり解説していきます。
まずは、ゲームの核となる「陣営」と「アクション」から。誰が敵で、誰が味方か。複雑な関係性の中で勝利を目指すシステムを見ていきましょう。
秘密の陣営と1人勝ち
プレイヤーは次のいずれかの陣営に属しています。陣営の勝利に貢献することはとても大切ですが、勝つのは1人だけです!
🔍 探索者
ゲートを閉じて世界を救う。狂気に陥る or メインエージェントが暗殺されるとゲーム終了。
主な得点源:
- 探索トラックの勝利点
- 都市の支配
- 次元門を閉じる
- 獲得したカードの勝利点
🕯 カルト信者
ゲートを開いて破滅を招く。狂気や暗殺ではゲーム終了にならない不死の信者たち。
主な得点源:
- 儀式トラックの勝利点
- 都市の支配
- 次元門を開く
- 暗殺した他のプレイヤーのエージェント
- 不死者にした自分のエージェント
- 獲得したカードの勝利点
🗡 裏切り者
かつては探索者 or カルト信者。見かけは仲間だが、実は敵。
所属していた陣営のトラックの勝利点は得られるが、正体がバレると減点される。
主な得点源:
- かつて所属していた陣営のトラックの勝利点
- 都市の支配
- 次元門を開く&閉じる(どちらでもOK)
- 暗殺した他のプレイヤーのエージェント
※陣営ごとのゲームの終了条件は後編で詳しく解説します。
手番の基本は、2アクション制+フリーアクション
各プレイヤーは手番で以下のことを行います:
- アクションを2回実行(例:影響力の配置、移動、カード獲得など)
- 必要に応じてフリーアクションも追加で実行可能
- 手札が4枚以下であれば5枚まで補充(山札が切れたら捨て札をシャッフル)
この中で特に重要なアクションが「影響力の配置」と「獲得」です。
エリアマジョリティーに勝ってデッキ構築

手札から、影響力アイコンのある支援カードを1枚以上プレイすると、都市やカードに影響力キューブを配置できます。
配置されたキューブと、都市にいる自分のエージェントを合わせた「影響力の合計」が、他のプレイヤーより高ければ、あなたがその都市やカードを〈獲得〉できます。
なお、エージェントがその都市にいる場合は、影響力がさらに1点分加算されます。
※エージェントがいなくても獲得は可能ですが、いることで獲得しやすくなります。
獲得できるのは:
- 神話カード(=強力だが山札には入らない効果カード)
- 通常支援カード(=各都市で獲得可能。プレイヤーデッキに加えるカード)
- 都市支援カード(=各都市で獲得可能。点数源&プレイヤーデッキに加えるカード)
「じゃあ、最初のアクションで影響力キューブを置いて、次のアクションで獲得すればいいじゃん!」と思うかもしれませんが、そう簡単にはいきません。
獲得アクションは、手番の最初のアクションでのみ行えます。
つまり、次の自分のターンまで獲得対象でマジョリティを維持しないといけないのです!
強力なカードや、あなたにとって有利なカードは、他のプレイヤーからの妨害にあうかもしれません。
エージェントで行動の強化

ゲーム中、プレイヤーは最大6体までのエージェントを雇用できます(対応するカードを獲得することで雇用)。
エージェントには次のような機能があります:
- 都市やカード獲得時の影響力ブースト
- 他のエージェントを暗殺
- 次元門の開閉
エージェントは必要な資材を払うことで、街から街へ移動することもできます。
次回は、異界の力と引き換えに生じる「狂気」のリスク、ゲームの終了と勝利条件、そして各陣営の戦略的な立ち回りについてご紹介します。

クトゥルフ:ダーク・プロヴィデンス
【1~5人 / 60分 / 14歳以上】
『ブラス』『蒸気の時代』で知られる名匠マーティン・ウォレスの傑作『翠色の習作』が、CMONの人気作『クトゥルフ~死もまた死すべし~』の世界観で再構築。
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2025年7月23日(水)17:00~ 2025年8月25日(月)17:00