『ロックハード 1977』プレイレポート:ライブ感満載で1977年アメリカに生きている気分が味わえる

『ロックハード 1977』プレイレポート:ライブ感満載で1977年アメリカに生きている気分が味わえる

『ロックハード 1977』プレイレポート:ライブ感満載で1977年アメリカに生きている気分が味わえる

2026年1月27日(火)日本語版を発売予定の『ロックハード 1977』を、Web・マーケ担当スタッフ(女性)が遊んでみました。今回は3人戦です。

『ロックハード 1977』は、1970年代のアメリカを舞台に、10人の個性的なミュージシャンの一人となってロックスターを目指すワーカープレイスメントゲームです。

デザイナーのジャッキー・フォックスは、オール女性ロックバンド「The Runaways」の元ベーシストで、当時の空気感と業界知識が作品のあちこちに詰まっています。

『ロックハード 1977』商品表紙


ゲーム準備

【重要】公式プレイリストをかける

まずはSpotifyで公開されている、ジャッキー・フォックス作の公式プレイリストをBGMとして流します。
公式プレイリストはこちら

ロック界の名曲が流れ始めた瞬間、場の空気は一気に70年代のムードに包まれます。

雰囲気が整ったら箱を開け、全体ボード周りの準備を整えます(今回はこの説明は省略)。

その後は各プレイヤーの個人準備に移ります。

キャラクターの決定

ルールブックにのっとり、ランダムに2枚のキャラクターカードを引き、そこから今回のプレイヤーキャラクターを選びます。

箱の側面でおなじみの、ギタリストの「エリック・フェアチャイルド」と、ドラマーの「シア・ダーリン」が候補でした。

筆者は昔ドラムを練習していたこともありますし、同性でもあるので、シアにしました。

本当は、某銀河帝国の英雄みたいな金髪イケメンのドノヴァンもよかったです。ぐう。

アクスタのキャラクターコマが最高

各キャラクターコマはアクスタ(アクリルスタンド)になっています。

市販のゲームで最初からキャラクターコマがアクスタ、というのはそうそうありません。しかも10人分もあります。

プレイヤーカラーの台座と組み合わせて使えるので、「使いたいキャラクター」と「いつも担当している色」が噛み合わない悲劇も起きにくいです。

これまでとこれからの人生が決まる

開始前に人生経験カードと個人目標カードが配られます。

ゲーム終了時に達成していたらボーナス点がもらえるので、ワーカープレイスメントで迷子になりがちな自分にはかなり助かりました。

人生経験もなかなか大人? な内容ですね。

共に駆け抜けるマネージャーを選ぶ

次に、マネージャーを手番とは逆順に選びます。
どの能力も結構強力で、ここからすでに悩ましいです。

キャラクターには個人能力があるので、それとシナジーのあるマネージャーを選びたいところです。

シアは、昼フェイズにスタジオでリハーサルを行うと、演奏力上昇にボーナスがあります。
そのため筆者は、毎ラウンド昼フェイズの行動を1ドル安く行えるヴァネッサを選択しました。

まだ音楽では食っていけないのでバイトを決めてスタート!

バイトカードを2枚から1枚選びます。
シアはホールスタッフの深夜バイトです。

キャラクターボード等を、アンプ型個人ボードにセットします。

アンプのツマミでステータスを管理するのがとってもかわいいです。
これは無駄に回したくなります。

映画好きスタッフ曰く「つまみの最大値が11なことがとっても重要」らしいです。
演奏力、評判、作曲数の初期値を2、印税と中毒値は0に設定します。

1ドルと、1キャンディーを握りしめ、レッツ・ロック!

今回のキャラクター達

初回なのでフルネームで書いておきます。

  • 筆者、シア・ダーリン&マネージャー ヴァネッサ・カスティーヨ(黄)
  • レオ・ラブ&マネージャー トミー・ロック(赤)
  • キミー・キム&マネージャー ロス“ジュニア”エヴァンス(青)

ゲームボードは4つのエリアに分かれている

ゲームボードには深夜の3フェイズと、いつでも行えるグレーのエリアのアクションがあります(ロッカーに朝フェイズなんてありません)。

「∞」マークが記載されていないアクションマスは基本的に1人しか入れません。
手番順や優先度、他プレイヤーの動きを予想することが大切です。

アイコンや数字は、色ごとに意味が異なります

  • 青:アクション実行に必要な条件
  • 黒:アクションで得られる報酬
  • 赤:アクションで支払うコスト

「昼フェイズ」成長&準備

昼フェイズはミュージシャンとして、様々な練習や業務、契約等をこなしていきます。

1ラウンド目の昼フェイズ、

赤のレオはスタッフを雇用しました。

青のキミーはラジオ局でインタビューを受けて評判が1上昇しました。

筆者のシアはいそいそとリハーサルスタジオへ行きました。
最初からやりたいアクションができて嬉しいです。

シアの能力で通常1上昇する演奏力が2上昇して4になります。
さらにマネージャーのヴァネッサの能力で1ドル引きです。つまり無料です。
なんて顔が利くんでしょうか。

「夜フェイズ」ギグで世間を沸かせ!

夜フェイズはギグの開催が中心になります。
ライブのことをギグっていうんだぜ、かっこいいです。

ギグの開催には演奏力、評判、曲数といったキャラクター能力と、スタッフ数の指定があります。

規模の大きさごとに必要条件が定められているので、ロックミュージシャンとして力をつけて大きなハコ(ライブ会場)でギグを開催できる様になっていきます。

さらに毎ラウンド変わる〈ランダムギグ〉があります。これは何人でも開催可能で、イベント的なギグです。

今回はトレードショーで、ゴミ機材の中でもいい仕事をしているスタッフを引き抜けるとのことで、それを実行しました。

「深夜フェイズ」夜遊び? それとも明日に備える

深夜フェイズは、たまり場での夜遊びや、翌日の準備等が行えます。

ロックンローラーの夜はここから! ……と言いたいところですが、シアには深夜のホールスタッフのバイトがあります。

まだ音楽だけで食べていけないので、みんなそれぞれ、いろんな時間帯にバイトをしているのです。

いつでも行えるグレーのエリアにある「出勤マス」にコマを配置します。

今回はラッキーで3ドル稼げました。

ただし、このホールスタッフのバイトだけは他のバイトと違って、ダイス次第でお金を取られる可能性もあります。 おい常連客! 勘定踏み倒すなんて許さないぞ!

紙幣トークンが本物のドル札そっくりです。もちろんパロディなので使うと逮捕されます。

アメリカの1ドル札は、汚れや落書きがしてあるものが多いらしく、その雰囲気がそのまま再現されています。
ぜひゲーム中にじっくり見てほしいポイントです。

他のミュージシャンたちは夜遊びに興じていた

レオは「バックステージ」というたまり場でハリウッドスターと話し込んで周りから一目置かれていました。

キミーは「フーバーズ・タバーン」でキャンディーを2つ購入していました。

え? これキャンディーの話ですよね?

たまり場にはドキドキのハプニングが満載

ゲームには5か所の「たまり場」それぞれにカードの山があり、様々な経験が得られます。

このカードに書かれているロックなフレーバーテキストの一部は、デザイナーであるジャッキー・フォックスの経験を元に作られている点もお楽しみポイントです。

1970年代アメリカは、なんていうか、結構なんでもありでロックだったんだな、という当時の雰囲気を楽しめます。

翌ラウンドの行動順、夜更かしが効きます

深夜フェイズの行動によって次のラウンドの行動順が変わります。

夜更かしをしていると翌日に響いてライバルに遅れを取ってしまう点がユニークです。

深夜フェイズのアクション横にあるギターピックアイコンの数字が小さい順から、行動順が回る様になります。

ちなみに翌ラウンドでほぼ確実に先手に回りたい時は、深夜フェイズに「早上がり」(1)する必要があります。

ただ今回のゲームでは誰も行っていませんでした。ロッカーは大概夜型みたいです。

手番順はこの本物さながらのギターピックで管理します。本当にギターが弾けそうです(実際に弾いて破損しても責任は取れませんよ!)。

キャンディーをくれ! キャンディー……があれば……まだ動けるんだ

2ラウンドは、シアは昼に無料でリハーサルを行い、夜は小さめのハコでギグを行い、深夜にデモテープを録音しました。

さらに同じ深夜フェイズに「曲を書く」もしたくて、キャンディーを消費しました。

このように、昼と深夜のフェイズは、キャンディーを消費することで2回行動できるのが、このゲームのみそです。

ただしキャンディーには代償があります。

キャンディートークン使用後は、まず〈シュガーハイデッキ〉からカードを1枚引きます。

基本的にはソフトキャンディーで、ボーナスとして追加行動が得られ、その代わりに中毒値が上昇します。たまに追加行動が2回になるものや、逆に追加行動ができないものもあります。

カードに書かれている値分、中毒値を上昇させたあと、ダイスを振り、出目と中毒値を比べます。

出目が中毒値以上なら症状は出ません。しかし出目が中毒値を下回ると低血糖状態になってしまい、翌ラウンドの昼フェイズは治療を余儀なくされます。

治療をすると低血糖は治り、中毒値は1下がります。

つまりキャンディーを食べれば食べるほど、低血糖状態になる可能性が高くなるということです。

……これ、本当にキャンディーの話かな?

今回は最初のキャンディー使用で中毒値が0から1だったため、低血糖の心配はなく、無事に曲が書けました。

バイトを欠勤してクビになる

あれ? 深夜のホールスタッフのバイトは? そうです、欠勤です。

バイトを欠勤すると欠勤トークンがたまり、3個でクビです。

レコード契約で印税収入

昨晩ちょっとキャンディーで無理をした甲斐があり、翌ラウンドには無事レコード契約ができました。

印税レベルが1になり、毎ラウンド2ドルの収入が入ってくるようになります。
夢の印税生活の幕開けです。

もうあんな、客の勘定踏み倒しをバイトに払わせるようなブラックバイト先には出勤しません!
ということでその後はまったく出勤せず、速攻で自主退職(クビ)しました。
これでロックン・ロールに人生の全てを捧げる準備が整いましたね!

1977年に最も輝いたミュージシャンは?

その後は各ミュージシャンとも順調にスターダムを駆け上がり、最大のハコ「カーター・スタジアム」でギグが開催できるほどになりました。

そして1977年は終わり、誰が「新人アーティスト賞」(ゲームの勝者)を獲得したのでしょうか?

接戦!
青のキミーが76点、黄のシアが74点、赤のレオが73点で、キミーの勝利でした。

キミーの個人能力は、キャンディー消費時の中毒値判定ダイスを各ラウンド中1回振り直せる、というものです。

さらにマネージャーのロス“ジュニア”エヴァンスの効果で、たまり場で能力が上昇したら、その能力がさらに1上昇します。

このかみ合わせを利用して、キャンディーを噛みまくり、深夜にたまり場を2か所はしごをしまくっていたのが勝利のポイントだったと思います。

なお、たまり場カードは、同じアイコンを4つそろえるか、4種類のアイコンを1つずつ集めることで、ボーナスとして5点を獲得できます。

この得点が取れるかどうかも、勝敗にかなり効きました。

レオは、他プレイヤーのいるギグでもアクションを行える能力を活かして着実にギグを開催していました。

ゲームごとに設定される3種類の早い者勝ちの全体ボーナスも多く達成していましたが、一歩及びませんでした。

シアはキャラクター能力で演奏力をメキメキ伸ばせたので前半はとても立ち回りやすかったです。

キャラクターボード裏面の背景ストーリーも、向上心が強くて音楽を愛し、根が真面目なイメージだったので、夜遊びはそこそこに音楽活動最優先で遊んでみました。

感想、血の通った1977年でした

勝敗はもとより、とても楽しいプレイ体験でした。

1970年代のロックバンド大ムーブメントの時代を、大人気バンドのメンバーとして生きたデザイナーの、血の通ったエピソードが満載でライブ感が抜群です。

本当にその時代のミュージシャンとして生きている様な気持ちが味わえます。

テーマ設定がここまで詳細に描かれているのに、プレイヤーごとに様々な路線で遊んでも接戦に持ち込めたゲームバランスも秀逸でした。

運要素と戦略性のバランスもとても良いです。

ロックファン、音楽ファン、ボードゲームファン、誰でも楽しめること間違いなしです。

余談ですが、「ジョジョの奇妙な冒険」が大好きな筆者は、BGMで流れる様々なアーティストの楽曲にずっと心が踊っていました。