数々の名作ホラー映画にインスパイアされたボードゲーム『ファイナル・ガール』。『ファイナル・ガール』で遊ぶ前に知っておくと楽しさが倍増する、ホラー映画の知識をCMON JAPAN映画マニアのスタッフが解説いたします。
今回は、『ファイナル・ガール』フィーチャーフィルムボックス『呪霊館~振り向いたら、おわり~』のご紹介と、幽霊・屋敷をテーマにしたホラー作品について解説します!
フィーチャーフィルムボックス「呪霊館~振り向いたら、おわり~」
このフィーチャーフィルムボックスでは、プレイヤーはファイナル・ガールであるセリーナまたはアリスとなり、少女キャロルを救出するために古屋敷「クリーチ館」を探索します。邪悪なポルターガイストに立ち向かいながら、屋根裏やクローゼットなどの恐ろしい部屋を調査しつつ、キャロルを見つけたら屋敷から脱出しなければなりません。果たして、邪悪な霊が支配するこの館から無事に逃げ切れるでしょうか?
呪われた屋敷という舞台
ホラーに置いては不気味な屋敷はもはや定番と言ってもいいでしょう。これらは俗に「屋敷モノホラー」と呼ばれて数多くの作品が創られてきました。
その中でも古典的な作品といえば『たたり』(1963年アメリカ映画)でしょう。ニューイングランドの古い屋敷「ヒル・ハウス」に、超常現象の研究家であるマークウェイ博士が、屋敷の怪奇現象の真相を解明するために、数人の助手と共に屋敷に滞在します。彼らは次々と奇妙な現象に遭遇します。この映画では、それが真実なのかもわからない「見えない恐怖」を巧みに描いています。1999年にリメイクされたこともあるので、知っている方もいらっしゃるでしょう。
このジャンルの代名詞としては『悪魔の住む家(The Amityville Horror)』(1979年アメリカ映画)をあげる人も多いでしょう。実際に起こった事件を元にしたこの作品では、新居に引っ越した家族が次々に怪奇現象に襲われ、次第に家そのものが彼らを狂わせていく様子が描写されています。『Amityville』作品群はその殆どがB級かそれ以下でありつつも、なんと60作以上も作られている長寿シリーズです。
少し屋敷からは外れてしまいますが、曰く付きのホテルであるオーバールック・ホテルを舞台にした『シャイニング』(1980年アメリカ映画)は、ホラー映画史に永遠に名を刻んだ作品と言っても過言ではないでしょう。冬季に閉鎖されるオーバールック・ホテルの管理人としてやってきたジャック・トランスとその家族。ジャックの息子ダニーは「シャイニング」と呼ばれるテレパシー能力を持っており、ホテルで様々な超常現象を目撃します。現代のホラー小説界の巨匠スティーブン・キングの原作を、異常なまでに作品を作り込むスタンリー・キューブリック監督が映画にしました。次第に精神を蝕まれていく両親の狂気と、生々しいビジュアル、シンメトリーにこだわった絵作りの無機質な恐怖がおぞましく、たびたび、最も怖いホラー映画ランキングで首位となるほどです。また正式続編の『ドクター・スリープ』(2019年アメリカ映画)や本作をただ考察するだけのドキュメンタリー『ROOM237』(2012年アメリカ映画)なども未だに高い人気を誇っています。
屋敷を舞台にした家族で楽しめるホラー映画として、ディズニー作品のエディ・マーフィー版『ホーンテッドマンション』(2003年アメリカ映画)やその別バージョンの『ホーンテッドマンション』(2023年アメリカ映画)や現在続編が公開予定のティム・バートンの『ビートルジュース』(1988年アメリカ映画)やドラマも話題になった『アダムスファミリー』(1991年アメリカ映画)などもあります。屋敷ものホラーは懐が深いのです。
日本とアメリカの幽霊ホラー
「ホラー」といば、まず最初に幽霊や怪奇現象を想像する方も多いかもしれません。日本では、江戸時代から怪談や幽霊画が広まり、「幽霊」は昔から恐怖と好奇心の対象でした。たとえば、『四谷怪談』や『番町皿屋敷』など、日本の幽霊話は感情や恨みが絡み合い、非常に心理的な恐怖を生み出しています。
一方で、アメリカの映画界では幽霊よりも怪物や吸血鬼などの恐怖が一般的でした。その中で不思議な試みをした作品と言えば『13ゴースト』(1960年アメリカ映画)があります。当時の赤と青の3Dメガネの片方だけで見える映像を2種類用意して、お化けが見える恐怖体験版と何も見えない恐くない版で見れるようにしました。また、実際にスタッフがオバケの大道具を上映中ぶら下げるようなアトラクション的な試みを行いました。リメイク版の『13ゴースト』(2001年アメリカ映画)は限られた予算の中で原作を再現しつつ、かなりユニークなオバケの造形を作り上げていますので、一見の価値があるでしょう。
その後、超常現象やオカルトブームが爆発したのはなんといっても1973年の『エクソシスト』(1973年アメリカ映画)の影響でしょう。悪魔祓いにやってきた2人の神父と少女に憑りついた悪魔との戦いを描いた本作も、最も怖いホラー映画ランキング上位の常連です。
また、あのスティーヴン・スピルバーグ監督も幽霊ホラー映画を手掛けています。『ポルターガイスト』(1982年アメリカ映画)は、平凡な家庭が突如ポルターガイストに襲われる恐怖を描き、日常の裏に潜む不気味な力をテーマにしています。
日本の幽霊ホラーを世界的に有名にした作品である『リング』(1998年日本映画)は海外でも人気です。この映画は2002年にアメリカで『ザ・リング』(2002年アメリカ映画)としてリメイクされ、貞子に相当するキャラクターとして幽霊少女「サマラ」が登場します。以降も様々な日本のホラーが「Jホラー」としてリメイクされています。
近年の人気作品としては『死霊館』(2013年アメリカ映画)シリーズが人気です。このシリーズは1970年代頃、アメリカで活動していた心霊研究家エドとロレイン・ウォーレン夫妻が実際に調査した心霊現象や悪魔払いの事件体験を基にしたホラー映画シリーズです。複数のスピンオフ作品を含む「死霊館ユニバース」として展開されています。
今夜のジャーナルはここまで。お互い生き抜いて、また次の夜に会いましょう!
(このブログの映画に関する考察はCMON JAPAN独自のもので、英語版出版元であるVan Ryder Gamesの公式発表ではございません。また、ゲーム内の日本語訳は製品版では変更になる可能性がございます)
"They're here.” 「彼らが来たわ。」 – キャロル・アン・フリーリング『ポルターガイスト』より
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